200X年、多忙を極めて納品に追われて完全に体調を崩して、ドラム時代からのぎっくり腰に加え、謎のめまいや発熱などなどが続き、ついに倒れました。
思えば連日徹夜での作業、そのまま仕事に出かけ、また戻って作業、時間がないので食事はコンビニ、数日寝ていて命を削りすぎた事を今更自覚。
態勢を立て直さねば。まずは生活リズムと、料理は好きなゆえに自炊はちゃんとしようと思ってふと、吉祥寺の輸入食品・雑貨のお店で目に留まったスパイス。カレーのことはずっと気になっていました。「美味しんぼ」24巻 で「カレーとはなにか?」を日本のカレーショップの店長に問うた海原雄山の言葉が鳴り響きます。なんと、インドに行ってもインドには「カレー」という単語はありませんでした。スパイスは日常であり、諸国が一発でわかる「カレー」的な概念はなく、決まりもないといいます。
【漫画】「美味しんぼ」に登場するスパイスたち:カレー勝負(24巻)
ここで、独断と偏見のなか、ひとつの仮定を設けました。「カレーは家庭ごとの味噌汁的なものではないか」。日本では家庭ごとにすこしづつ味噌汁は違います。味噌の種類、具、出汁。日本で販売されている「ルー」が仮にみそだとして、インドの各家庭ではその時々や家庭ごとの特徴でスパイスを毎回ミックス(もしくは家庭ごとに用意保管)して、ごはんにしているのではないかと。
別にお店を出すわけでもなく、目的は健康を取り戻すことでしたので、さっそく用途に「カレー」とつくものは何でも試して、すり鉢で擦ってみようと。失敗しても体によいわけで、食べちゃおうと。そして、かなりシンプルに4種類ぐらいのスパイスを購入、すりおろしてから、ニンニク・ショウガ・玉ねぎと炒め混ぜてみると、なんと!!カレーらしき味になったではありませんか。(よく考えたら、もう7種類ぐらい使っているんですね)かつ、健康的な味がします。これなら体調も元通りになるかもしれない。
もうひとつ、スパイスというと「刺激」「辛い」⇒胃腸に悪い、というイメージが付きがちですが、実は辛くて刺激があるのはトウガラシの種類で、ほかのスパイスはむしろ消化を助けることに驚きました。また、中国漢方とまったく同じものも多々ある・・・これは、もしや漢方治療になるのではないか!?
かくして、毎回お店を物色してはスパイスを探してカレーにし、気が付けば数か月、毎日カレーを作っていました。毎回メモを取ったりすればよいのかもしれません(実際そのようなアドバイスもいただきました)。が、味噌汁のみそは軽量しないわけで(まだ仮定が続いています笑)、「なんとなく」「狙った味」になれば成功、そして毎回できるようになればと。
スパイスは30種類くらいになっていました。種もあれば葉っぱもありますね。すり鉢だとどうしても時間がかかるので、コーヒー豆を挽く用のそんなに大きくない石臼を購入しました。凝ってるね!と言われがちですが、石臼のほうがすり鉢より擦るのが簡単だからです。作り方は簡単であればあるほど良し。変に凝ってしまって時間がかかるのはNGです。これは仕事しながらなので必須条件でした。
【料理】スパイスから作る荒々しいカレーの作り方(最速)
さきほど、「種」や「葉」と上げましたが、瓶や袋にて販売している保存がきくスパイスがほぼ「ドライ」であるのに対し、「フレッシュ」なものもありました。フレッシュは、葉っぱなどを収穫してすぐ使うものです。簡単に言うと「生」です。ミント・セロリ・コリアンダー(パクチー)、シソ、生トウガラシ、などなど、カレーに入れると鮮烈な香りがみずみずしい思えばショウガやニンニクもフレッシュですね。
当時の自宅の一人暮らしのベランダは、周りがそのまま地面になっていて、大家さんが草むしりするまでぼうぼうでした。なので、鍬(くわ)ホームセンターで買ってきてハーブを植えました。10種類くらいになりました。もともとハーブは雑草ですのでお水をあげればすくすく育ちました。簡単です。買うよりもお得です。
【おすすめ本】「はじめてのハーブ栽培」でハーブ育て放題
ここで、「ハーブ」って「スパイス」と類似していることに気が付きました。昔レストランで出していた「フレッシュハーブティー」を思い出します。これ、カレーと合わせて、ちぎってお茶にしたらどうだろうか。ちょっと調べれば、ハーブにもいろいろな効能が潜んでいる!!
【おすすめ本】「ハーブティー事典」の効能一覧表がすごい!!
かくして、集めた「スパイス」と庭の「ハーブ」でカレーを食べ(本当に毎日)とハーブティーをがぶがぶ飲みながら、自宅作業の音楽制作をするというかたちができて、1年、2年がたちました。体調はすっかりもどって元気に。
また、カレーも適当に調理して作れるようになってきました。それでも何回か、本を見ながら作ったこともあります。ただ、記憶力が悪いので、レシピはどうにも暗記はできません。味噌汁的イメージが念頭にあったからかもしれません。なんというか、新しい発見を探したり、答え合わせの参考にする感じで(こんないい加減でしたが、素晴らしい書籍にも出会いました)。
このあと、カレー作りの熱量は穏やかになり、時折日々の中で作るほか、頼まれて作りに行ったり、お店で短期間提供したりと、日常の一部として、またイベントのような存在になっていきました。