【囲碁】棋譜並べは小説よりも面白い!?初心者におすすめ!【鑑賞】

「囲碁って難しそう、きっと難しいよ」って言われたことがよくあります。実際そう思っている方も多いかと存じます。
そこで、好きになる前に囲碁から距離を置いていく人が多いのはとてももったいない、いや、好きになってほしい〜!お願いです〜!!といつも思っています。

でも、よく考えてみると、「野球が好き」と言っても、キャッチボールを時折やるぐらい、または草野球やるぐらい、から街のチームでプレイするぐらい、はたまた高校野球、プロ野球。


こう言った具合に「野球」の「好き」に対する自身の行動が人によって様々ですよね。

一重に「囲碁」と言っても、ルール覚えたての人が「プロ野球」ぐらいの人と打つなんてできませんし、「街のチーム」に入って渡り合うのだって難しいものだと思います。

さて、ここでは「囲碁はなんとなく知っている」とか、「囲碁を知らない」といった人でも楽しめる「棋譜鑑賞」というお話をさせていただきたいと思っていますです(ルールとかちょっとでも知っていたら尚更です)。

さっきの野球の例でわかりやすく言えば、試合でも、キャッチボールでもなく、「試合観戦」「ハイライトを見る」みたいな感じです。

そして、スポーツ観戦と言ったものとはまた違った「芸術鑑賞」としての棋譜ならべを少しご紹介します。

目次

囲碁の楽しみ方は、棋力向上オンリーではない

 ちなみに「棋譜ならべ」は、「囲碁ってなんだろう?を自分なりに考えたり、正解のない、もしくは正解のわからないことに思案やイメージを膨らませるんですよ」って言われたら「あれ?」ってなりませんか?

 囲碁は「頭脳スポーツ」と言われたりしていて、「正解」を追い求めて戦っている印象を持つ方が多いです。

そう、「常に正しいこと」を目指して行動しなければならない、少なくとも「正解を理解していなければならない」といった壁みたいなものを感じ取って、それで「難しいよ」と遠慮されているのです。

ここでは「趣味でなが〜く楽しんでいきたい」という方のための「棋譜鑑賞」を紹介いたします。

<棋譜並べの良いところ>
①囲碁初心者でも自分なりに楽しむことができる
②自分の解釈でストーリー性を楽しめる。
③いつの間にか囲碁の棋力向上にもつながっちゃう。

囲碁「棋譜鑑賞」と「美術鑑賞」「音楽鑑賞」は同じようなもの

「現代アート」「インスタレーション」や「フリージャズ」「音響系」などの美術や音楽のジャンルをご覧になったことはありますか?

一見、普通の絵と違った抽象的な表現や、全く型にはまらない演奏を聴いて、自分も「どうやって観たら、聴いたらいいのかわからない」と思ったことがあります。


 特に美術に関してはほんとなかなか分からず、解説読んでみても分からず、割と尻込みしていたんですが、、、ある時、目が覚めました。

デザイン系の友人から「感じたままどう解釈してもいいんだよ、わかんなくてもなんか好き、でもいいし、つまんないって言ったって自由」というアドバイスを受けたのです。

おかげで初めて肩肘張らずに、気軽に美術展へ足を運ぶことができるようになりました。

「好き」に理由はないんですよね。その選択は自分だけのもので、それに従えばなんでも楽しい鑑賞対象なんです。

本来芸術は自由なもので、様々な表現の豊さや、多様性に心をときめかせるものだと思っています。

そして、「囲碁」はそれにかなり近いものだと思っています。

高い自由度と、どんな実力の人でも楽しめる許容性を、本来はしっかりと持っています(じゃないと何千年も続きませんよね)。

 残念ながら、そんなことを主張していても、どんなジャンルの場所にも、既存の権威らしきものを我がものとして他の人にダメ出ししたり、良かれと思って教えすぎて威張っちゃうことになる人はいるもので、、、

 きっと正しいのでしょうけど、「そんなんじゃ囲碁打っちゃダメだ」「入門からやり直し」なんて言われてしょんぼりしてしまった囲碁の人にたくさん出会いました。

 たとえ美術や音楽の有名な評論などに出会ったとしても、知識取得の参考にはしても、それに対して完全にひれ伏す必要はないと思います。定石や参考書に関しても同じ意見を持っています。


 「〇〇も知らないのに音楽語るな」とか、「〇〇ができないのならその資格がない」なんていう「自称玄人」に惑わされることはありません(どの界隈にもいるんですよね…)。

というか、本当にすごい人はそんなこと言いませんね(笑)

 自分は講師として、たくさんの囲碁を諦めかけた人たちが「囲碁楽しい!」になっていくお手伝いをしてきました。

特別訓練で鍛えたり、日常への指示を出したりしたわけではありません(決してしません)。

自身で楽しめる内容の楽しい選択肢を提示して、その人にあった囲碁との付き合い方を一緒に歩いて考えただけです。

そして、その中のおすすめの一つが「棋譜並べ」=「棋譜鑑賞」というわけです。

「自己が持っているソースをもとに自分なりに考えて判断する」

これが自分の、囲碁の持っている広く深い魅力と付き合うための、楽しくて無理のない方法だと思っています。


自分の知らない世界を見る、たとえば初めての美術鑑賞や音楽鑑賞、演劇鑑賞、などにも実にバッチリ当てはまりますので、参考にしていただければ幸いです。


そして棋譜並べもやってみちゃいましょう!

「棋譜」にはどんなものがあるの?種類は?

元々、棋譜にはなが〜い歴史があります。日本にはたくさんの囲碁の対局記録が残されています。
文化財としてもとても貴重なんです。
中国発祥であっても、日本が自国の文化として世界へ囲碁を誇れる大事な要因と言っていいでしょう。

まさに古文書のような棋譜。当時の人たちの戦いが記録されています。なんかかっこいい!

写真のような、古文書を探し出すのは大変ですが、その記録を現代の人が編纂して書籍になっているものがちゃんとあります。

すごいですね!!

中には「伝説の記譜」も存在します。ワクワクしてきませんか?

最近では、古い囲碁の記録をわかりやすく解説している本も出ていますよ!ご参考までに下に載せてみました。

昔からの伝統的な囲碁の記録だけではありません。現代における、毎年ごとのホットな記譜たちの記録も、囲碁の総本山「日本棋院」から出版されています。すごい!!

囲碁年鑑には、年ごとのプロ棋士の戦いがぎっしり!!解説や状況もしっかりされています。



これを必ず購入する囲碁ファンの人は少なからず存在します。

八重洲囲碁センターのマネージャーで販売担当だったとき、「まだ出ないんですか?」なんてお問い合わせを昔よくいただきました。

興味ある人は下の囲碁年鑑から品定めでもに見てみてください。

とにかく夏休みに毎日並べまくって五段になった先輩いたなあ…(やりすぎ)

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「それでも難しそうだな…」という方には、「サンプル記譜」という、囲碁入門教室などで使っている、囲碁の仕組みがよくわかるような作りをしている棋譜があります。

これは自分が囲碁の入門教室で普段から使っているもので、練習用の小型の碁盤「9路盤」の棋譜です。

最初はこれでもごちゃっとしてどうしていいか、わけがかからないですよね、でも大丈夫!!

次を読んでみましょう。

「棋譜並べ」という「棋譜鑑賞」はどうやってやるの?

棋譜並べのやり方は至ってかんたん!記録された「棋譜」を番号順にならべて眺めるだけ。
囲碁をぜんぜんしらなくても大丈夫なんです!!

棋譜並べは、黒石と白石を交互に、番号順に並べていけばOK!!


まず、さっきのような九路盤の、最初から最後まで記録されている棋譜を「総譜」と言います。
もう一回見てみましょう。

「総譜」は最初から最後まで一気に載っている棋譜です。

一枚で全部描かれているので、初心者にはどこがどこだかわかりません。
ただ、最後まで記録している=完成図、なので「どんな陣地になったか」はなんとなくわかりますね。


ちょっとわかりやすいように最後の番号だけ残してみました。右側の囲まれた空間が黒の陣地、左側の囲まれた空間が白の陣地に見えませんか?

最初は番号を追っているだけで大変なんですけれども、何回か並べていくうちに石が増えていって陣地らしきものが描かれ、完成された地図に向かっていきます。

「わあ、大変だなあ」から、なんとなく位置を覚えていって「ふうん、こうやって出来上がっていくのかあ」と、やはりなんとなくみてみましょう。

ルールがわからない、といった人のために勝敗を追記します、もう知っている人は飛ばしてくださいね。
 ※棋譜並べではあまり勝敗を気にせず並べます。
囲碁は、「広い方が勝ち」というゲームなので囲まれている交点を数えます。
数えてみましょう。この図のような結果になります。

最後の図まで記載されていると、どんな完成図になったかがわかりやすいのですが、、、

やっぱり手順が最初から最後までぎっしり全部載っていると、どんな順番でこの完成図が出来上がったか、番号を追うのもわかりにくいですね。

そこでご紹介するのが、「部分図」と言われている、段階を追って棋譜ができていく棋譜の表し方です。「第○譜」と言って、○には順番の数が入ります。

「第○譜」は展開ごと、手数ごとに分けて載っている棋譜です。

さっきの「総譜」をいくつかの段階に分けて載せているのが「第○譜」とナンバリングした棋譜です。まずは第一譜を見てみましょう。

【第一譜】1〜8手まで

さっきより、手数が少ないので見やすいですね?こうやって陣地の骨格、大まかなデザインを作っていきます。

【第二譜】9〜17手まで

さて、お気づきでしょうか。
第二譜になると、さっきまで並べた第一譜の白黒碁石くんたちは番号が消えて、ただの白石、黒石の絵になります。続きの番号が探しやすいのです!!
なんとなーく、黒が陣地の拡大を狙い、白がそれに対して抵抗している感じがしませんか?

【第三譜】18〜24手まで

どうでしょうか、やはりさっきまで打たれた場所はモノトーンになっていますね?
ここは中央の戦いの場面ですが、しっかりとそこだけクローズアップされていますので、並べやすいというわけです。お互いにつながるように陣地が決まってきています。

【第四譜】25〜32手まで

さて、狭くて小さなところの陣地をしっかりと決めて、これで陣地が完成です。

これは練習用の9路盤なので、スケールも小さいですが、その代わり囲碁の試合がどんな感じで進むのか、をご紹介するのには適しています。

大きい19路盤で並べるときには、最後までというよりはハイライトまで並べたり、途中までで切り上げ、そこまでの道のりをストーリーとして楽しむことが多いです。

棋譜並べの効能、囲碁の上達以外にも色々と役に立つかも!?

棋譜ならべ」は、もともとは囲碁の修行の一環として、上達のために行われていました。
もちろん、初心者棋譜をならべることはできますし、実は、並べるだけでも十分楽しめて、更には上達にもつながっていきます。


 また、「棋譜ならべ」には精神統一・集中する「写経」と同様、心を落ち着かせたり、整える効果があります、邪念を払える効果があるかも!?


 また「棋譜」は、戦いの記録でもあります。ならべながら、なんとなく小説や映画を観るように、白黒両者が描き、ぶつかりあったそのストーリーを楽しむこともできます。


初めての人、ちょっと囲碁を知った人、もし棋譜並べをしてみようかな、と思って、家に碁盤がなかったり、そのコツを知りたいな、と思ったら「棋譜並べ会」をみてみてください。

吉祥寺囲碁クラブ秀哉
【初心者】囲碁の棋譜を並べで鑑賞・その作法も紹介【棋譜ならべ会】  美術や映画のように、芸術を観る感覚で楽しめる「棋譜鑑賞」。やり方は至ってかんたん!記録された「棋譜」を番号順にならべて眺めるだけ。 囲碁をぜんぜんしらなくて...

どうでしたでしょうか?
対局というバトルだけでない囲碁の魅力が伝われば幸甚です。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!!

囲碁をはじめてみたいな、と思ったり、はじめてみてお悩みの方へ。
記事を見てみて興味をお持ちいただけましたら、ご質問、ご相談など何でもお受けします。
下のコンタクトフォームでご連絡先を教えて下さい。
また、ちょっとしたらコツや、おもしろいトピックをご紹介していきます。
近日講座などもこちらからお届けできたらと思っています。


    この記事を書いた人

    音楽関係と囲碁関係の仕事を長い間、続けています。
    どちらも本業、その両立は中々に大変です。仕事量と締切に追われ倒れてからは、食の方に目を向けてスパイス・カレー・発酵などを研究。
    音楽は、作曲とバンドマスター、囲碁は入門初級インストラクターと店長的マネージメント。時たまカレー屋さん。
    様々な2歳〜90歳範囲の人々と日々ふれあい学びを得て、色々な事象の「つながり」を大事にして生きています。感謝。

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