せっかく買った碁盤、入手したときは新品で木の香りもほのかに立って手触りもいいのですが、このまま悪くなってしまったらどうしよう?なんて思いますね。
また、ちょっと汚れた古い碁盤を倉庫の奥で見つけたり、もらったりするお話はよく聞きます。一体どうやって綺麗にしたら良いのか、そのポイントを簡単にご説明します。
碁盤が古くなるとこうなる!!気をつけて見たいこと3つ
囲碁を打つ碁会所には毎日たくさんの人が来て、たくさん囲碁を打っています。だんだんと碁盤も色々とメンテナンスが必要な状態になっていくでしょう。
自宅の碁盤はそこまでではないかもしれませんが、お手入れをしていなかったり、どこかにしまって放置されていたりすると、同じように汚れてきて少しづつですが劣化していきます。
【その1】碁盤の線「路の線」がだんだん削られて、消えてくる
【その2】碁盤の点「星」がだんだん削られて、消えてくる
【その3】碁盤の表面が傷んでカスレたり、凹みができでしまう。
こういった状態のまま放置し続けると、直射日光や極度の乾燥でヒビやワレが出てくる危険性があります。また、湿気でカビが生えたり、クスミが出ることが多々あります。
乾燥と湿気を繰り返すと最悪、碁盤自体が反ってしまうことになり、打つことも不可能に。
もはや粗大ゴミに出さなくては…なんていうことが起きかねません。日本棋院でも、長年使っていると反ってしまう碁盤がごくたまに出てきます。反ってしまう前になんとかしましょう。
使いすぎた時、倉庫から見つかった盤などは、専門職の「面直し」
「面直し」をお聞きになったことはありますか?囲碁盤、将棋盤の専門店などが引き受けてくれて、専門の業者が直してくれます。日本棋院ではマネージャー時代に一年に一回は傷んだ碁盤を選んで、面直しを大量発注していました。表面がちょっと傷んでいる、線が消えてしまった、などの状態でしたらお願いして良いと思います。
「面直し」は、約2mmほど碁盤の表面を削り、きれいに平らにしてから、あらためて刀で墨の線を引く、伝統的な修理技術です。刀で線を引く姿がかっこいい!!
「面直し」は、碁盤の大事な表面だけ直す場合と、表面及び碁盤の側面も削ってきれいにする場合があるようです。後者が当然価格高めになります。
大体2万円前後のことが多いですが、お近くの碁盤店などに問い合わせるのが良いかもしれません。
お店によっては碁盤の状態を見てくれたり、代替の碁盤を修理中貸してくれたり、配送してくれたりなど、親身になって相談を受けてくれます。
下の写真は、横浜の「日の出棋院」さんが阿佐ヶ谷の「洪道場」の碁盤を修理して持ってきて組み立ててくれた図。洪道場では、子供たちが毎日毎日囲碁の勉強をしているので碁盤の線がどんどん消えちゃうんだそうです。すごいですね!!
実はわたくし、面直しなどの碁盤修理他、様々な棋具を扱っている横浜の「日の出棋院」に取材に行ってきました。
面直しなどに興味がありましたらGOMARUで紹介されている。日の出棋院さんをご覧になってみてください。わたくしも碁盤の相談をお受けすることもありますし、依頼されておつなぎすることもあります。
GOMARUの日の出棋院を見てみるときは→コチラ
碁盤のかんたんお手入れ 3ステップはこれ!!
最初に紹介した碁盤の画像は、相当使い込んだり、ほったらかしにされていたり、結構大変な状態です。
もし自宅に購入したばかりの碁盤がありましたら、後にこんなことにならないように、ちょこっとだけこまめに碁盤のお手入れしていれば大丈夫。そして、長年使っていて、いざとなれば「面直し」をお願いすれば良い、と思っておけばOKです。
やり方もそこまで難しくありません。ささっと簡単にご紹介いたしますね。
【1】固く絞った手拭いで水拭き
碁盤は基本的に水拭き厳禁です。ビチャビチャのまま拭くのはN G。しっかりと水を絞って切ってから拭くようにしましょう。ゆっくりと押すように力を入れて拭きましょう。こうして碁盤表面の汚れを落としていきます。
あまり汚れていないな、という場合は【2】から行ってください。
【2】すぐに乾いた布で乾拭き
水気は厳禁なので、拭き終わったらすぐに乾拭きします。この時もしっかり力を入れて拭くのがポイント。碁盤表面の水分をしっかり除去して、さらに念入りに汚れも落としてしまいましょう。水分をしっかり拭き切らずにそのままにしていると、傷んだりカビが生えたりする原因になるので気をつけてください!!
【3】椿油か専門ワックスで艶出し
最後に仕上げです。艶を出して碁盤の表面をまもるためには「椿油」がよく使われていますね。天然自然の椿油を碁盤表面に丁寧に塗りつけて、艶をだし、劣化を防ぎます。よく伸ばして碁盤に馴染ませましょう。
碁盤のお手入れであると嬉しいグッズ3選♫
①手ぬぐい
布のタイプは、碁盤にやさしく「毛羽立っていないこと」が大事。なので吸水性に富んだふわふわタオルなどは適していません。意外と「手ぬぐい」が最適なのです。碁盤購入の際に付いてくるお手入れ説明書きなどに「メリヤスの布を使って」と表記がよくありますが、まさに手ぬぐいがこの布のこと。
水拭き用、乾拭き用、艶出し用、の三種類用意するようにしましょう。
色がついていると水拭きの時、手拭いの色が落ちて碁盤にうつってしまう危険性があります。なるべく無地のものが良いです。碁石の手入れにも手拭いを使うのでたくさん持っておいて損はありません。
「メリヤス」は機械で編まれた布のことを指します。ポルトガルやスペインから15世紀、編み物技術が弱かった日本に伝わった技術で、靴下などを表す「medias(メディアス)」が「メリヤス」として広まり、当初はニット帽なども範疇にありましたが、のちに主に肌着などを表す言葉として浸透しました。
手ぬぐいはいろんなことに使えるのでぜひ持っておくと吉です。わたくしは常備かつ愛好家として収集しております。
②椿油
乾拭きの後、水分をしっかりぬぐって乾いた状態になった碁盤に椿油をよく伸ばして刷り込んでいきます。これで碁盤はピカピカ!!碁盤を拭く用というよりは、美容オイルとして利用されることが多いこの椿油、実は薬局でも売っていて手に入ることがあります。薬局に行く時には、ぜひ探してみてください。碁石の手入れにも使えるのでおひとつお持ちになっていても良いと思います。
③碁盤用ワックス
椿油を使うことが一般的ですが、ワックスを使うのも一つの手です。囲碁盤や将棋盤の専用ワックスがあります。あまりお目にかけませんがこれだけamazonで見つけました。容量が多いので初台囲碁クラブでは結構重宝していますね。
碁盤がキズつかないようにするグッズ「碁盤カバー」「碁盤マット」
①普段使いの布製「碁盤カバー」
ちょっとマニアックなもので、調べてもなかなか検索で見つかりませんね。
楽天では日本のサイトだからなのか(?)、やっと見つけることができました。
コチラは布製の碁盤カバーです。日光に当てすぎて焼けちゃったりしないように、また外部からの衝撃、水滴などでダメージを受けないように守ってくれます。
サイズが大まかに二寸盤と五寸盤と分かれています。お持ちになっている碁盤の大きさに合わせてみてください。
②しっかり保管用、木製「碁盤カバー」
これは木のタイプのカバーです。碁盤にかぶせて、衝撃などから守ります。ちょっと嵩張っちゃうのがデメリットですが、しっかりと守れます。長期保管で倉庫に一旦置きたい、という時や、他の場所まで移動して運ぶときなどは重宝しています。
③意外と重宝「碁盤マット」
表面を守ることも大事ですが、碁盤のガタ付きなどを防止して、周囲から守ってくれて、碁盤の汚れも防いでくれるのが「碁盤マット」です。
私のおススメは断然!!畳の碁盤マットなんです。お値段もそこまで高くもないですし、これを敷くだけでメリットがたくさんあるんですよ。
普段碁盤を使う時にこれがあると、より「和」の雰囲気も醸されて、また、高級感もちょこっと増しちゃいます。また、畳は通気性がとても良いので、床にベタ置きするよりも湿りにくく、カビにくくなって良いなあ、と思っています。
いかがでしたでしょうか。
碁盤を新しく手に入れると、ちょっと日本の文化に本格的に触れられる気分も上昇して楽しくなってきます。日本古来からの、道具を大切にする気持ち、そのための様々な工夫の中で生まれてきた修理や手入れする技術には感嘆するばかりです。
そんな気持ちが込められた、碁盤のちょっとしたグッズも色々みてみると良いと思います。
碁盤を修理したり、お手入れしたり、「どうやったらいいの?」
こういった疑問のお役に立てれば幸甚です。読んでいただいてありがとうございました!!