漢字と囲碁が関係があるって、ご存知でしたか?もし、囲碁がなかったら漢字は今の「かたち」はひょっとしたら無いかもしれません。一体どんな関係性があるというのでしょうか。
甲骨文字と漢字
「漢字」は中国発祥として広まった、「象形文字」で、縦と横に読める独特な特徴を持つ文字です。こんにちの「漢字」は、古代中国は「殷(いん)」の時代が元と言われています。
表を見てみましょう。ずっと左に「殷」があります、つまり昔…紀元前1000年以上前ですね!!
まだキリストさんも生まれていません。
漢字は、亀の甲らなどに刻まれた「甲骨文字(こうこつもじ)」が起源です。
他の骨も使ってますけど…
甲骨文字の「甲骨」、それはズバリ亀の甲羅です。卜占(ボクセン)といって、作物などの豊作が見込めるかどうかなどなど、未来を占って、文字が刻まれていました。
<卜占のやり方>
1 亀の丸い甲羅を祈りながら火であぶる。
2 甲羅にピシピシっと、いろんなヒビが入る
3 ヒビの入り方などの形をみて、未来を占う
4 占い結果を平らな甲羅に書き込む
この世界「天円地方」を象徴する、生物「亀」と神具「碁盤」
「天円地方」という古くからの中国の考え方があります。「天の動きは円く、地の動きは四角(方形)に広がる」、といったものです。
まさしく、亀の甲羅は、丸く盛り上がりながら、模様は四角く、腹は平坦です。
また、碁盤は四角く丸い碁石を使って戦います。「方」と「円」が同時に存在しています。
碁盤と一緒に、「この世界」を表していたんですね。
碁盤も元々は占いで使われたり、暦として使われていたものです。卜占を行う亀甲文字。そしてその碁盤は「方」という地面の広がり、この世界を占って刻まれた文字と深い関係があります。
それが盤上の遊戯としての「囲碁」へと発達していくことを考えるとちょっとロマンチックですね。
碁盤の「造り」の中にある漢字構造
英語や他の言語は横にのみ書き進められるのに対し、漢字は縦にも書ける、影響を受けたハングル文字やひらがな文字も同様で漢字と組み合わせて縦に読み書き進めることができるものです。
「碁盤」も縦と横にベクトルが存在します。
例えば、この位置は「16の四」として石の位置を表します(図1)。
※囲碁ではこの交点に石を置きます。オセロのように四角で囲われた空間には置きません。
そして、この交点と交点の間にある碁盤の「升目(マスメ)」。これが漢字の成立と関係があると言うのです。
我々は、漢字を書くときに、無意識に「升目」を想定して書いているのだそうです。
例えば、「火」「田」それぞれ漢字がありますが、その二文字を足してできる「はたけ」という漢字を「火田」とは書きませんね。ナチュラルに「畑」と表記しますが、これは実は西欧など漢字圏外の世界に当てはまらないそうです。
色々な物事がつながっているんだなあ、と思えるお話でした。
出典「かたち誕生」杉浦康平