1855年、安政の大地震がおこりました。
大昔より、日本で大地震は大鯰(おおなまず)が引き起こしたものとされていまして、この大地震のあとに、大鯰(おおなまず)の絵がずいぶんと巷に出回ったそうです。
大地震は大鯰。書いてある石の絵は?
この絵を御覧ください。すごいですね。
当時の大火事も引き起こしたらしき、大地震の規模の大きさや恐ろしさが伝わってきます。
さて、そんなこの絵たちには共通して「要石」と書いてある石の絵がありますね。
一体「要石」とはどんなものなのでしょうか。
そう、みなさん想像できたかもしれませんが、大地震の大鯰(おおなまず)を抑えるために祀られている、御神石なのです。この絵はそんな大地震が起こってしまわないように願って描かれ、そして各地に広がってみんなに配られたものと思われますね。
「要石」は本当に存在していた!!
実際の要石はこんなかんじのようです。
茨城県にある、由緒ある鹿島神宮の「要石」です。御覧ください。
ちなみに、こちらが千葉県にある、由緒ある香取神宮の要石です。
一円玉が見えますね。あれ、ちいさい?・・・のかな?笑
そう、ちょこっとしたかわいい石に見えますね。いやいや、この石はですね、 実は地中深くまで続いており、とてつもなく大きいんだそうです。掘っても掘っても底が見えなかったという記録もあるのだそうです。まさしく、「氷山の一角」ならぬ「要石の一角」なのであります。
もう一度絵を見てみると、大鯰を神様が要石を使って抑えていることがよくわかります。
もしこの「要石」が無くなってしまうと、奥深くにいる大鯰が大暴れ、地面が割れ、山が崩れ、家は倒壊、国中がとんでもないことになる、と信じられていたのでしょう。
囲碁にもある「要石」の存在とは
実は、囲碁にも「要石」という「囲碁用語」があります。とある要素を持った石を指します。
いったいどういったものでしょうか?
この場面をごらんください。作ってみました。
実は「要石」がこの中に隠されています。
この「要石」のおかげで白石の世界はなんとか崩壊せずにつながっています。
さて白の気持ちになって「要石」が取られないように、守っていただけますでしょうか。
ここで囲碁のルールの確認です。
石は、「縦」と「横」の道が塞がれると取られてしまいます。
この白石2つが取られるとしたら…
縦と横で囲んでいきます。これはあと一手で取られてしまうアタリの図
全部囲われると…?
取られます。盤上から取り外されて、相手の陣地になってしまうのです。
もう一度見てみましょう。さあ、どうでしょうか?どこが要石でしょうか?
どれが要石か一瞬ではわからないかもしれませんね。答えはこれ!!
この要石をつなげて守ってあげてください。もし、この要石が相手にとられてしまったら・・・下の図のような地獄絵図になります。
このようにバラバラになってしまいます。まさに大地震が起こって大地が割れたような事件ですね。イメージが浮かんできましたでしょうか?
世界地図を創り、陣地の広さを競う囲碁の重要局面で現れてくる「要石」。この見極めが勝敗を左右すると言っても過言ではありません。
要石という言葉は「彼は我社の要石だ」といったような、キーマン的重要人物に対しても表現されることがあります。
昔の囲碁を打つひとたちは、大地震を引き起こす大鯰を封じ込め、大地を守ってくれている「要石」に思いを馳せながら、このような盤上(碁盤も大地を表しています)に居てみんなをつなげている大事な石のことを「要石」と呼ぶようになったのかもしれません。
囲碁をもっと知ってみたいな、知りたいな、と思っていただければ幸いです。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!!